整理で行うこと2・構造レベルの整理(構造・設計の最適化)
構造レベルの整理(構造・設計の最適化)
構造レベルの整理とは、データの「形」や「設計方針」を整える作業のことを指す。 値の中身ではなく、データの並び方・繋ぎ方・履歴の持ち方などを扱う。 複数のデータを結びつけやすくし、ツール上でも使いやすい構造にしていく。
構造の変換・整形
複雑・不揃いな構造を扱いやすい形に変換する。ネスト構造の展開、複数値の分割、正規化・非正規化の設計などが該当する。
フラット化
JSONのネストや1セルに複数値が入った列を展開して平坦な構造にする。
- 例:{user: {name: "田中"}}
→ user_name = "田中"
正規化・非正規化の設計
重複を排除する「正規化」、可読性や集計効率を優先する「非正規化」を使い分ける。
- 例:商品テーブルで「カテゴリID」を残し、カテゴリ名は別テーブルに切り出す
統合とキー設計
複数のデータを連携・統合するための構造設計。
マスタ結合
コードに意味を付加するため、対応するマスタを結合する。
- 例:「商品ID」に対して「商品名」「単価」などをJOIN
データ統合
業務別・部門別などに分かれたデータを1つにまとめる。
- 例:月別CSVファイルを統合して1年分にまとめる
横断キーの作成
他テーブルとの接続用に共通キーを生成・整備する。
- 例:「部門コード+社員番号」で共通キーを作成
柔軟性と保守性の確保
将来的な変更や再利用に耐えうる構造を設計する。
構成の柔軟性
列追加や仕様変更に強いよう、依存を減らす。
- 例:テンプレートベース出力で既存処理を壊さず追加反映できるようにする
命名の一貫性
カラム名やIDの命名規則を統一して、結合や自動処理を安定させる。
- 例:
user_id
/UserID
/id_user
の混在を排除
ダッシュボード軽量化
BIでの描画効率を上げる構成にする。
- 例:不要な列を削除し、表示速度を改善
時系列・順序・階層構造の設計
時間軸や親子関係など、順序や階層に意味を持たせる設計。
時系列・順序管理
時間軸や処理順序を保持する設計。
- 例:
display_order
やpriority
による順序付け
階層・ツリー構造
親子関係を表すための構造。
- 例:
parent_id
で階層関係を表す隣接リストモデル
多対多・複雑な関係の表現
多対多やネットワーク型など、複雑な関係を扱うための構造。
中間テーブル
多対多の関係を整理する。
- 例:ユーザーとタグを結ぶ中間テーブル
グラフ構造
ノード間の関係性を表現する。
- 例:処理フローをDAG(有向非巡回グラフ)で管理
集計・サマリー構造
集計処理の効率化と柔軟性を確保するための設計。
事前集計テーブル
集計負荷を軽減し、リアルタイム処理を補助する。
- 例:日別・月別にあらかじめ集計したテーブルを作成
ピボット・クロス集計対応
柔軟な軸切り替えに対応する構造。
- 例:EAV(Entity-Attribute-Value)モデルを導入
履歴・スナップショット管理
時間的な変化や状態推移を記録・追跡できる構造を整備する。
履歴テーブル設計
変更の都度、過去状態を別行で記録。
- 例:「状態」「更新日時」を保持し、履歴を時系列で追えるようにする
スナップショット設計
ある時点の全体状態を記録する方式。
- 例:毎月初に全レコードを別ファイルとして保存